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すべて光。

  • 執筆者の写真: rilkephoto
    rilkephoto
  • 2017年9月19日
  • 読了時間: 2分

会社帰り、レイトショーで見た映画「光」。 (以下公式より引用) 「河瀨監督と永瀬正敏のコンビが、ヒロインに水崎綾女をむかえ、次に届けるのは人生で大切なものを失っても、きっと前を向けると信じさせてくれる迷える大人のための、ラブストーリー。 やがて視力を失うカメラマンに出逢い、人生に迷う美佐子の何かが変わってゆく――」

ストーリーではなく全編の空気で感じたのは 生きてるうちに。 目が見えるうちに。 もっと撮りたい。 もっと見たい。 この世界は、 生きるのが辛くなるほど美しすぎて。 街路樹が並ぶ車道。 朝日を浴びる逆光の街並み。 情景を伝えるのに必要なのは、

使い古されてしまった心を打つための言葉達なんかじゃなくて、 うっすらと追憶に残るあの人のスカーフの「オレンジと白」というフレーズだったりして。

瞬間の匂いや風、空気の湿度や横に立つ横顔だったりして。 心から滲み出る、淡く透き通る光の煌めきや琴線の震えを、 言葉によって小さくしてしまっては意味がない。 写真家にとってカメラは心臓であって、写真は命そのものなのだから、 写真家は、そのことを決して忘れてはいけない。

そんな風に思った。

この映画の中で写真家はあることをきっかけにカメラを捨てるのだけど、

いちばん大切なものを捨てないといけない時は、煮え切らない自分の決断を待つ猶予もなく 裏切られたことがきっかけだったり見たくないものを見たときに不意に覚悟がついたりして。 最後の一枚は、もう決まっていたりして。 自分の力で世界を愛しているんだと信じてやまなかった人間が、 いちばん大切なものを失う喪失感はとても大きいけれど、 それでも生きようとする姿はとても逞しい。

生きるということを、

今、生きているということをつよく感じた作品。


 
 
 

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